「振り幅日本一のきもの屋」を理念に掲げているきものやまとは、着物という文化に真剣に取り組んでいる企業です。
着物離れが進んできた時代が訪れても、常に着物業界の先頭を担って盛り上げてきた実績もあります。
そんなきものやまとでは、新たに渋谷区と協働で「ハタチ記念撮影会」を行うことを発表しました。
渋谷区と協働で実施した「ハタチ記念撮影会」がどのようなものであったか、きものやまとの企業概要と共に解説していきます。
Contents
きものやまとの企業概要について

きものやまとは有名な着物専門店です。
着物の古き良き時代を残しつつ、常に進化することを視野に入れて取り組んでいます。
ここでは、きものやまとの会社概要をご紹介します。
【会社概要】
名称:株式会社やまと
本社:東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目27番3号
創業:1917年
設立:1947年
代表:代表取締役社長 矢嶋孝行
資本金:1億円
従業員数:832名
きものやまとは、東京小石川で創業しました。
1947年に社名をやまとに変更し、東京都新宿区に設立しています。
きものをもっと一般的にしたいという想いから、1965年に全国展開をスタートさました。
振袖イメージには安室奈美恵さんや広瀬すずさんなどを起用し、その時代の流行に合わせた着物を提案し続けています。
きものやまとが100周年を迎えた2017年には、世界最大級のメンズ展示会とされる「ピッティ・ウォモ」で「T-KIMONO」を発表しました。
「T-KIMONO」はきものテーラーがコンセプトとなっていて、洋風の小物との組み合わせで幅広いスタイルとデザインがコラボしています。
きものやまとは、きものが持つ可能性を信じて、きものの可能性を広げようと考えている企業です。
きものの振り幅を日本一にすることで、新しく楽しくしていこうとしています。
そのため、ブランド体系やプロジェクトを積極的に取り入れることで、きもの市場の創造や発展にも貢献しています。
他にもきもの文化維持継続のため、私たちを囲む社会や環境、経済などのすべてが持続可能していくことを目指しているのです。
きものやまとは着物文化の維持をし続けながらも発展している会社であることがわかりました。
きものやまとが渋谷区と協働で実施した「ハタチ記念撮影会」とは?

渋谷区は、きものやまとと同じく渋谷区に本社を構える「アトリエはるか」と協働でタイアップ企画を実施しました。
アトリエはるかは、全国の駅近くにヘアメイクとネイル専門店を展開している会社です。
どちらも渋谷区に本社があること、そして新成人を祝いたいことでタイアップが実現しました。
対象となるのは、障がいによって成人式に参加できない、振袖や紋付袴が着られずに断念してしまった20歳です。
障がいに合わせた着物とヘアメイクをフルオーダーで提供して、ハレの日を祝う目的で開催されました。
対象になるのは、渋谷区で発行された障がい者手帳保有者で20歳の方限定です。
これらは、日本人として成人の儀となるハレの場、そして節目の機会を誰もが楽しめる世の中にしたいというきものやまととアトリエはるかの想いも込められています。
実際に「ハタチ記念撮影会」に参加した方からは、着物を着る機会がないと思っていたから嬉しいという意見が多く、親からも子どもの着物姿を見られないと思っていたからご褒美に感じたと喜ばれていました。
障がいを抱える方の中には、服の素材が苦手であったり締め付けが苦手であったりする方もいます。
この着心地という問題を少しでも快適にしたのは、きものやまとの考案した着物です。
着物が苦手な方に対しては、ユニバーサル振袖とユニバーサル袴を用意して紐を使わずに締め付けを軽減しました。
帯で隠れる部分もスナップやゴムになっている特別仕様なので、着物特有の不快感がありません。
ユニバーサル袴は、サイドをファスナーにしているので寝た状態でも着付け可能です。
これらの工夫によって、障がいがあっても楽しく快適にハタチを祝うことができました。
きものやまとが渋谷区と協働で行ったその他のイベント

きものやまとは、ハタチ記念撮影会以外にも、渋谷区と協働して「こどもテーブル」「はたちのつどい(旧新成人を祝う会)」を開催しています。
「こどもテーブル」
こどもテーブルは、渋谷区が取り組んでいる活動の一つです。
地域の力で子どもをサポートしていき、現代の子どもが抱える知恵や体験の支援などを中心に行っています。
日本に昔からあるご近所や長屋、地域の絆によってみんなで子どもを見守り、育てていく文化が、子育てにおいての問題を解決できるきっかけになるのではないかと考えられています。
こどもテーブルでは、食事の提供があるお夕飯の日や遊び体験、親子のための読み聞かせ会などが開催されています。
その中で、きものやまとが実施したのが「やまとハブ広場」です。
渋谷区にあるやまと本社でこどもテーブルと連携し、小学生を対象に水引で季節のお花体験、はぎれのコラージュを用いたカレンダー作成、着物の試着体験などが行われました。
「はたちのつどい(旧新成人を祝う会)」
きものやまとは、渋谷区と協働で「はたちのつどい(旧新成人を祝う会)」を実施しています。
1月に渋谷区成人式会場近くの北谷公園で撮影会を行い、人生の大切な日の瞬間を撮影しました。
2021年は、新成人を対象とした無料撮影会を全国6ヶ所で開催し、プロフォトグラファーによってハレの日を記念に残すことができました。
特に成人式を中止にする地域が多く、晴れやかな姿がカタチに残せないもどかしさを感じていた新成人には嬉しいイベントです。
そして、地域による緩和や対策を講じているものの、はたちのつどい(旧新成人を祝う会)として成人式が開催された渋谷区では、新成人18組、42名の最高な瞬間を残せる形となりました。
渋谷区と「S-SAP協定」を締結した理由は?

きものやまとは、2022年5月に渋谷区とシブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー(S-SAP)協定を締結しています。
大学や民間企業などが持っている技術とノウハウを活用しながら、地域社会が抱える課題や問題解決を図るために協働して連携することが目的です。
協定分野に関しては以下の5点です。
1.次世代育成関連の支援
2.文化振興や生涯学習関連の支援
3. 多様性社会(ダイバーシティ)を実現するための支援
4.環境保全関連の支援
5.上記に掲げるもの以外に、互いに連携や協力が必要と認められた支援
この協定によって、渋谷区との連携と方針が決まりました。
そもそも渋谷区と協働するきっかけとなったのは、きものやまとが約50年間渋谷を拠点にしていたこと、近年様々な地域貢献に積極的だったことなどが理由です。
きものやまとと渋谷区の連携を通じて、違いを認め合い、力に変える渋谷区にしようと取り組んでいくことが決まっています。
この協定に基づいて、今後は次世代育成関連の支援、文化振興、生涯学習支援などの分野が抱える問題解決にも協働すると発表されています。
現在、この協定に基づいた取り組みとして、障がいを抱えた新成人へ向けた「こどもテーブル」「ハタチ記念撮影会」「はたちのつどい(旧新成人を祝う会)」が開催されました。
渋谷区との協働によって、渋谷区から伝統と新たな社会に向けてのメッセージが発信できるでしょう。
きものやまとのサステナビリティ活動について

きものやまとは着物業界の発展だけでなく、国際社会の一員という自覚を持ち続けるために持続可能な開発目標(SDGs)支援も行っています。
着物文化だけを残しても、持続していくことは不可能です。
安心して着物文化を維持していくためには、取り囲む社会や環境、経済のすべてが持続可能な状態でなければなりません。
そのために、きものやまとは地球や人の永続的な幸せが続けるための世界を目指し、積極的なサステナビリティを行い、社会と共に共創していく精神を保持します。
持続可能な開発目標となるSDGsは17個の目標があります。
これらを2030年までに実現するため、きものやまとでは重要課題である3つに注目して取り組むことに決めました。
環境への負担軽減
きものやまとは、リデュース・リユース・リサイクルの3Rについて考え、ゴミの削減に取り組んでいます。
ゴミが減ればCo2削減につながるだけでなく、環境に対する意識や環境配慮型のオフィス作りもできます。
実際にきものやまとでは、社内流通便でのダンボールの使用を取りやめました。
代わりに使用されているのは、専用のエコビズボックスと呼ばれるもので、耐久性、防水性、輸送コスト削減、廃棄物削減が期待できます。
1年間で約2万個使用されていたダンボールを減らせたことで、使う責任に向きあっています。
他にも、社内のコピー機台数を約60%削減し、個々のゴミ箱も廃止しました。
これは、ゴミ全体を減らす目的で行われた内容です。
使用できるクリアファイルを消毒後に再利用することで、プラスチックごみの見直しにもなっています。
従業員の意識から変えていくことで、環境に優しいオフィス作りの一歩となった取り組みです。
商品について
きものやまとが取り扱う商品は、製品や品質にこだわるだけでなく、それらを取り巻いている社会や環境への配慮も忘れていません。
周囲の環境も持続可能な開発に努めていくことで、多くのSDGsを実現します。
まず、きものに使用しているコットンは殺虫剤や農薬を使用しない環境配慮型のオーガニックコットンへ変更したことで、地球にも労働者にも優しい環境に変わります。
持続的な生産を目指すため、織工育成にも努めています。
第一歩となったのが、石川県の加賀友禅作家の育成、鹿児島県の奄美市両産地の本場大島紬織工の育成です。
加賀友禅は、産地で認定された落款登録作家しか生産できないものです。
とても貴重なものですが、2018年までの6年間に新しい作家が誕生していません。
これは作家として育成できる環境が整っていないこと、デザイン作成の経験不足からくることなどが挙げられます。
早めに将来を見据えた対応を取らない以上、加賀友禅が消えてしまう可能性も考えられます。
そこで、きものやまとによる後継者育成プログラムで制作費支援、候補者認定、ものづくり関連費用の助成を行うというものです。
織工育成プログラムも同じで、高度な技術を必要とする大島紬の織工の育成が難しいこと、産業が分業形態で企業として育成しにくいことを踏まえて支援が誕生しました。
さらに、産地の織工は70歳以上が50%以上を超えるなど、高齢化が進んでいることも問題です。
そのため、2020年以降は織工が市場から消えてしまう可能性が高くなっています。
急務とされる新しい織工育成のために、2018年から織工養成所、技術専門学院を開校し、年間各10名の織工育成支援、指導者の雇用支援にも取り組んでいます。
人について
続いて、きものやまとでは、誰もが楽しめる世の中に変えていくために、きものの開発や支援活動に積極的です。
障がい、国籍、性別などの枠にとらわれることなく、次の世代の子どもたちが健やかに過ごせる環境整備を整えていきます。
従業員に対しても、子育てとの両立だけでなく、全員が働きやすい環境作りに取り組むことで、包容力と多様性を認める社会実現が目指せるのです。
そのために、きものやまとが行っていることは着物の簡素化と社員の働く環境の見直しです。
着物を着る時には多くの手順と工程が必要ですが、紐で結ぶだけで着付け可能なクイックきもの加工、帯の着脱が簡単にできるワンタッチ帯加工、障がいによって「着られない」を「着られる」に変えるユニバーサルきものを開発しました。
社員の環境に関しては、「たくさん遊んで、たくさん学ぼう。」を掲げていて、きもの以外でも様々な経験が出来るように、ノー残業デーとして毎週火曜日を「スマイルの日」に決めています。
このような人に対しての取り組みで、多くの笑顔が生まれるようにしているのです。
まとめ

今回は、きものやまとが渋谷区と協働で実施したハタチ記念撮影会やその他のイベント、さらにその他に取り組んでいるサステナビリティ活動についてご紹介してきました。
大手老舗のきもの屋ですが、古き良き着物や伝統の継承にも力を入れているだけでなく、振り幅を大きく着物の将来を進化させていくことに真剣に向き合っていることがわかりました。
企業としてもSDGsへの取り組みを実施しているだけでなく、地域活動にも向き合っています。
さらに、渋谷区との協働で様々な活動を行い、多くの新成人のハレの日を祝っています。
これらの内容から、今後もきものやまとは大きく成長を遂げる企業だと言えるでしょう。
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